法人の事業として買取等の古物商事業を展開するには古物商許可が必要です。
古物商許可の申請は法人と個人で違いがあります。事前に注意点を把握しておくことが大切です。
- 法人の必要書類は多い
- 法人申請の行政書士費用は約5万円
法人の古物商許可の基本
法人で古物商許可を取得する前に、古物商許可の基本を把握しておきましょう。
法人は個人よりも必要書類が多く手続きも大変です。登記や定款に関する注意点もあります。必要に応じて専門家に相談しましょう。
個人の許可と法人の許可は別物
古物商の許可は、個人・法人どちらでも取得することができます。
しかし、個人で取得した許可を法人にて利用することはできません。
また、個人事業主が法人化した場合、その古物商許可は継続されません。
個人事業主と法人代表が同じ人物であっても不可となります。個人の許可と法人の許可は全くの別物となるのです。
法人化を考えているのであれば、再度、法人として古物商許可を改めて取得する必要があるのです。
まだ古物商許可を取得していない個人事業主であれば、法人化を先に行うことをお勧めします。
個人と法人とで2回申請を行うことになり、労力も費用も余計にかかることとなってしまうからです。
法人の必要書類は多い
古物商許可の申請に必要な書類は下記のものとなります。
- 許可申請書 別記様式第一号(その1~その4)
- 略歴書
- 誓約書
- 住民票(本籍地記載あり・マイナンバー記載なし)
- 身分証明書
- (必要な場合のみ)URLの使用権原疎明資料、営業所の使用承諾書など
- 法人の登記事項証明書
- 法人の定款(目的欄に古物商の営業の旨の記載があるもの)
- その他(営業所の確認資料等)
個人で申請するより、法人で申請するほうが書類の数は多くなります。
また営業所を複数持つ場合も、確認資料が増えますのでそれだけ準備が大変になります。
役員や管理者の書類も必要
略歴書、誓約書、住民票、身分証明書については、法人であれば役員全員分および管理者の分を準備しなくてはなりません。
また、許可申請書においても役員全員分の情報を記載する必要があります。
役員の数が多ければ、「許可申請書 別記様式第1号その1(イ)」に記載をします。
使用する書式が異なりますので、しっかりと確認をしてから作成するようにしましょう。
定款と登記簿謄本の記載に注意
古物商許可を取得する場合、会社の定款に古物商営業を行う旨を記載する必要があります。
定款にこの記載がない場合は、申請前に定款を作り直さなければなりません。
事業目的欄には「古物商営業および附帯関連する一切の事業」と記載をするとよいでしょう。
定款を変更したら、会社法で変更登記をすることが義務付けられています。
また法人の場合は、登記事項証明書も必要書類となっています。
取得後3か月以内の登記事項証明書が必要です。
謄本の請求用紙には「現在事項証明書」「一部事項証明書」などもありますが、必要なものは「履歴事項証明書」となります。
間違えないように取得しましょう。
古物商許可における法人の注意点
法人における古物商許可の取得は、特有の注意点があります。
- 欠格要件は法人の代表者や役員・管理者が対象
- 個人から法人への切り替えは新規取得
- 行政書士の取得代行費は個人より高くなる
具体的に見ていきましょう。
欠格要件は法人の代表者や役員・管理者が対象
古物商許可取得の際には、法人の役員全員と管理者が下記の欠格要件に該当しないか確認をしておく必要があります。
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
- 刑罰を受けたことのある者
- 暴力団等に属する者若しくはその関係者
- 住居の定まらない者
- 古物営業の許可を取り消されそれから5年が経過していない者
- 心身の故障により業務を適正に実施できない者
役員および管理者は、許可申請時に書面にて欠格要件に該当しない旨を誓約しなければなりません。
個人から法人への切り替えは新規取得
古物商許可をもつ個人事業主が法人なりをする場合、法人として再度許可申請を行わなくてはなりません。
個人から法人へ許可を引き継ぐことはできません。
新規での申請となり、初めから書類を作成し手数料を納めなくてはなりません。
申請してから許可が下りるまでの標準処理期間は約40日です。
その間については、個人で取得した許可証の返納を待ってくれます。
無許可期間が生じないように、事前に警察に相談をしておきましょう。
また、法人で古物商の許可申請を行う際には、先に法人を設立しておかなくてはなりません。
行政書士の取得代行費は個人より高くなる
申請書類作成から提出まで全て行政書士にお任せをすると、平均の報酬代は50,000円ほどです。
行政書士報酬は行政書士によってまちまちであり、これよりも安いこともあります。
ただ、安いとそれだけサポートが薄かったり申請が粗雑になるトラブルも発生しやすくなります。
適正な価格を提示している行政書士がおすすめです。
また、個人と法人とで値段設定が変わる場合もあります。
基本料金は一緒でも、法人である場合は役員の数によって追加料金がかかることもあります。
申請を依頼する際には、しっかりと料金体制を確認をしてからにしましょう。